履き心地やアフターケアにもこだわって
2013年11月以来、2年ぶりとなる
entoan・櫻井義浩さんの靴展。少し前に「こつこつ靴をつくる毎日を過ごしています」と工房の様子が伝わるメールをいただき、今回はどんな靴に会えるかなと、とても楽しみにしていました。
会期を前に櫻井さんから届いたのは、サドルシューズ、チャッカーブーツ、そしてレースアップブーツ。新作の3型でした。型数としては多くないのかもしれません。でも、それを感じさせないのは、どれもとてもていねいにつくられていて、厳選されたかたちだと伝わってくること、そして同じかたちでも革の組み合わせのバリエーションがあるからではないかと思います。ベーシックだけれどベーシックにおさまらない、entoanならではのデザインにもひかれます。
また、履き心地や長く履き続けるためのメンテナンスにもこだわる櫻井さんは、今回の靴をすべてグッドイヤー製法でつくっています。この製法だと、靴の中にクッションとなるコルクなどがたくさん入り、そのコルクが履いていくうちに自分の足のかたちに沈んでフィット感が増していきます。靴底の張り替えがしやすい製法なので、愛着のわいた靴をずっと履くこともできるそう。
現在entoanの靴は、月2回オープンする埼玉県越谷のアトリエ兼ショップと展示会での販売となっています。この機会にぜひご覧いただき、履いた感じを確かめていただければと思います。
革の組み合わせが選べる
「サドルシューズ」
最初にご紹介したいのは、「サドルシューズ」シリーズです。サドルシューズとは、甲の部分に馬の鞍(サドル)をのせたようなデザインの靴のこと。サドルやかかとの部分など、靴を構成するパーツが多く革の組み合わせを楽しめます。
櫻井さんも革を染色したり、ストックしてきた革を組み合わせ、6タイプをつくりました。「赤のサドルシューズ」はつるんとした革と粗い布目のような型押し加工がしてある革のコンビ、「こげ茶」はプレーンなこげ茶とふるびた(アンティーク加工した)こげ茶のコンビ。コントラストがはっきりしているものも、微妙な違いのものもセンスよくまとめられています。
この「サドルシューズ」、注目したいのはそれだけではありません。ちょっと上を向いたまるいつま先や張り出したエッジ(コバ)がボーイッシュで履くと元気になるのです。その一方で飾り穴やピンキングは、ちょっと華やかな気分にしてくれる。いくつもの要素をとてもバランスよくつめこんだ靴は、デニムなどカジュアルな服とも、テーラードのコートなどきちんとした印象の服にもあわせられます。サイズは22.5㎝~25㎝まで0.5㎝きざみでご用意しています。